後藤靖香
《寄書》
2008年
油彩、アクリル、墨汁、カンバス
304 × 480 cm
所蔵:国立国際美術館、大阪

後藤靖香

Artist's Voice

出品作の《芋洗い》《寄書き》と《あいおいばし》は、いずれも祖父や大叔父の青春時代を描いたものです。
美術を志すより以前から祖父たちが戦時下でどのように生きていたのかを知りたくて、色々調べていました。

大学を卒業した後、絵を描き続けるか迷っていたときにふと軍服姿の祖父が頭に浮かびました。戦争画を描きはじめたのは祖父たちの境遇と自分の切羽詰まった状況を重ね合わせたことがきっかけです。重ね合わせるというよりは「祖父と自分を同一化しようとしていた」か、「自分の中に他者を作り上げようしていた」といったほうが近いかもしれません。それからは今まで貯めていたものが一気に吹き出すような感じで夢中になって描いていました。

そうして様々な歴史に埋もれてしまった物語を調べ描いていくうちに、心の拠り所を求める人間の弱さや、その弱さを乗り越えようとする覚悟など、それらすべてを肯定したいという思いに至り、人間讃歌という一貫したコンセプトが自覚できるようになっていきました。


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ウェブサイト: http://tezukayama-g.com/yasuka-goto/


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