2013年10月17日(木)

1分でわかるアウト・オブ・ダウト~展覧会の見どころ(4)
グローバルに広がる潮流「ポスト・オブジェクト」

連載最終回にご紹介する「六本木クロッシング2013展:アウト・オブ・ダウト」の見どころは「ポスト・オブジェクト」。取り上げた4つのキーワードをヒントに、ぜひ会場で作品と対話してみてください! 「六本木クロッシング2013展:アウト・オブ・ダウト」は来年1月13日まで開催。

近年、グローバルなアートシーンでは、「ポスト・オブジェクト」に注目が集まっています。絵画や彫刻など、美術の伝統的な手法によって「モノ」として完結した作品に対し、ただ「モノ」として成立するのではなく、パフォーマンス的要素を持つインスタレーション作品や移動や変化の要素を持った表現が拡がりをみせているのです。この流れのなかで、日本の戦後美術に見られた「具体」や「もの派」など、完成した作品よりもその制作プロセスを重視したり、その場限りで後に残らないパフォーマンスやインスタレーションなどを行ったりする表現が改めて注目を浴びていることも納得できるでしょう。
本展では、グローバルなアート・コミュニティのなかで活躍する作家を中心に、これらの相関関係を探っていきます。
また、展覧会全体でも、これまでご紹介してきた「みどころ」は、それぞれの作品に横断的にみられるものであり、複雑に絡み合っているといって良いでしょう。


田島美加
《エキストラ》* 参考作品
2009年
Photo: Jason Mandella
Courtesy: Sculpture Center, New York
絵画、彫刻、パフォーマンスが融合。エキストラは棚のなかで待機

全4回にわたってご紹介した見どころ/キーポイントは、いずれも参加アーティストを分類するものではありません。
29組のアーティストによる作品は、実際の展示室のなかで、空間的、視覚的、概念的な対話を生むように配置されますので、ぜひ会場に足を運び、作品の声に耳を傾けてみてください。
そして、アートや社会に対する「疑念(ダウト)」について、一緒に考えてみませんか。
 

<関連リンク>

1分でわかるアウト・オブ・ダウト

・1分でわかるアウト・オブ・ダウト~展覧会の見どころ
(1) 現在と過去の作品の対比を通して紐解く、社会の転換期とアート
(2) 「ナンセンス」があらわす批判精神とは?
(3) 日本古来の自然観から、近代化の意味を問う
(4) グローバルに広がる潮流「ポスト・オブジェクト」

森美術館10周年記念展
「六本木クロッシング2013展:アウト・オブ・ダウト―来たるべき風景のために」

2013年9月21日(土)-2014年1月13日(月)

カテゴリー:01.MAMオピニオン
森美術館公式ブログは、森美術館公式ウェブサイトの利用条件に準じます。