2015年12月7日（月）に、森美術館メンバーシップ・プログラムMAMCメンバー向けイベントとして、「日産アートアワード2015鑑賞会」を開催しました。
日産アートアワードは、才能ある日本人アーティストをグローバルな視点で選抜し、アートシーンでプレゼンスを高めることを後押しすると共に、日本現代美術の軌跡を後世に残し、人々がアートに親しむ社会作りを目的に、隔年で開催される現代美術のアワードです。
今回で2回目となる日産アートアワード2015の審査員長を森美術館館長の南條史生が務めている関係で、2015年11月14日（土）から12月27日（日）まで開催中の「日産アートアワード2015ファイナリスト7名による新作展」のギャラリーツアーとあわせ、ファイナリスト4名によるトークイベントを開催しました。
当日の様子をフォトレポート形式にてお届けします。
ご登壇いただいた皆さん。左から、ファイナリスト4名（石田尚志さん、秋山さやかさん、ミヤギフトシさん、毛利悠子さん）、西谷枝里子さん（日産アートアワード広報）、塩見有子さん（日産アートアワード事務局、NPO法人アーツイニシアティブトウキョウ[AIT／エイト]理事長）、南條史生（日産アートアワード審査委員長、森美術館館長）
平日の18時から開催したこのイベントは、14人のMAMCメンバーが集まりました。
ギャラリーツアーでは、日産アートアワードの企画運営事務局をつとめ、現代アートの学校MADなどを主宰するNPO法人アーツイニシアティヴトウキョウ[AIT／エイト] の理事長でもある塩見有子さんより作品の解説がありました。
米田知子さんの作品《境界線の向こうに絡まる二本の松（北朝鮮と韓国の北東最前線・ゴセオン・韓国）》について解説する塩見有子さん
当初の予定にはありませんでしたが、今回のトークイベントに登壇した、ファイナリスト4名の作品については、作家本人が解説するという、贅沢なツアーとなりました。
グランプリを受賞した毛利悠子さんは、作品《モレモレ：与えられた落水 #1-3》を解説。本作品は、マルセル・デュシャンの「大ガラス」から着想を得たそうで、作品リストには載っていない秘話も聞けるのは、本人の解説ならではの醍醐味です。
岩崎貴宏さんの作品《アウト・オブ・ディスオーダー（70年草木は生えなかったか？）》。人毛を使用した作品で、実はなんと、この中には毛利悠子さんの髪の毛も使われているそう。
石田尚志さんの作品《正方形の窓》。シルエットですが、作品の左側に立っているのがご本人。
作品《南方からの17通のノート》について解説するミヤギフトシさん。2012年より取り組んでいるプロジェクト「American Boyfriend」から連作5点を展示しています。
秋山さやかさんの解説は、作品《浸食す9.1 19 29 10.3 11.7 8 13》のテントの中で。授賞式で自身が使用したコサージュは、最後に天井へ縫いつけたそう。
オーディエンス賞を受賞した久門剛史さんの《Quantize #5》。音、光、風を使って空間的な変化を表現した作品。この空間の中では不思議と皆さん無口です。
続いてのトークイベントでは、まずはじめに塩見さんより日産アートアワードについて、第1回目と第2回目の違いや、賞の内容などについてのお話がありました。グランプリを受賞した毛利悠子さんは賞金に加え、来年、ロンドンのカムデン・アーツ・センター（Camden Arts Centre）の協力を得て、ロンドンに2カ月間滞在して活動する機会が提供されます。
その後、各作家から、作品について改めて紹介があり、自身のバックグラウンド、次の活動予定などについてお話いただきました。
もっとたくさんお話を伺いたかったのですが、最後は駆け足となってしまいました。アーティスト同士の仲が良く、ファイナリストの7名で作り上げた展覧会なのだと感じました。
南條館長より日本の現代美術の環境について、興味深いお話もありました。
プロジェクターを使って、作品を紹介する様子。
今回ご参加くださったアーティストのミヤギフトシさんと毛利悠子さんは、来年2016年3月26日（土）より森美術館にて開催予定の「六本木クロッシング2016展：僕の身体、あなたの声」に出展します。また近々新作がみられるのが楽しみですね。
「日産アートアワード2015ファイナリスト7名による新作展」は、BankART Studio NYKにて2015年12月27日まで開催中。まだ観られていない方は、お急ぎください。入場無料です！
次のMAMCイベントは、「村上隆の五百羅漢図展」MAMCナイト&アニュアルカクテルパーティです。詳細については、近日中に会員向けメールニュースMAMCエクスプレスにてお知らせします。お楽しみに！
文：今村亜希子（森美術館マーケティンググループ）
＜関連リンク＞
・森美術館
「六本木クロッシング2016展：僕の身体、あなたの声」
会期：2016年3月26日（土）－7月10日（日）
・12/7開催！MAMCメンバー限定「日産アートアワード2015鑑賞会」
作品鑑賞の他、南條館長とファイナリストによるトークも！
