「私たちの場所はどこ?」とは English
3つの時代とスケールの「展覧会」が1つの空間に同居する、奇想天外な展覧会。

イリヤ&エミリア・カバコフ展「私たちの場所はどこ?」は、寓話性に満ちたユニークな絵画やインスタレーションで世界的に活躍するロシア人アーティスト、イリヤ&エミリア・カバコフの新作展です。本展は異なる3つの時代の異なる展覧会が一つの空間に同居する、かつてない不思議さと驚きに満ちた展覧会です。巨人が絵画を眺めるメガスケールの展覧会(過去)、ヒューマンスケールの展覧会(現代)、そして床下に広がるランドスケープ。観客はまるでガリバーか小人になったかのような気分で、自分の記憶や想像力を動員して自由に空間をめぐることになります。アーティスト自らが「あらゆるものの相対性」と呼ぶ本展では、その時々に永遠性を志向して生まれた芸術が、常に新しい芸術に超越されていく歴史の必然性および価値の相対性が表現されています。そこには旧ソ連をはじめさまざまな時代や価値観の波にさらされながら培われた、カバコフ夫妻の独自の強靭なユーモアと批評精神が息づいています。観客は、複数の時代とスケールの間を漂うことで、歴史や社会、文化的な相対性の中での自分の「場所」―自分は何者なのか、どこにいるのか―をあらためて確認しはじめることでしょう。この展覧会は、森美術館、イタリア、ヴェネチアのケリーニ・スタンパリア財団、ローマの21世紀国立美術館の共同主催となるもので、昨年のヴェネチアに続き森美術館にて公開、秋にはローマに巡回の予定です。