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ムンク、ピカソ、マティスの傑作からひも解く、近代アートの新たな物語。 |
「モダンってなに?」は、ニューヨーク近代美術館(TheMuseum of Modern Art, NEW YORK,
以下MoMA)コレクションから約250 点の絵画、写真、映画、デザイン、および建築作品を紹介する展覧会です。19 世紀末から現代にいたる近代アートの流れを一貫した説明でつづる本展は、森美術館2004
年度の重要な展覧会といえます。キュビスムとシュールレアリスムを頂点とする芸術運動のヒエラルキーを確立した「近代アート」の考え方はその後、30 年以上にわたる世界のアート、文化、政治、社会の激変によって重要性が薄れ、時流から外れたものとなりました。現在、近代アートは現代と関わり合いのない歴史上の一思潮とみなされがちです。そして「現代アート」という新しいカテゴリーに置き換えられようとしていますが、その関係は明白ではありません。 本展は過去と現在の新たな物語を作るべく、「近代」と「現代」の関係を探ります。19 世紀末から「近代」という言葉には多様な意味が含まれてきましたが、美術史上ではこのことが無視されてきました。森美術館ではアート、デザイン、建築のカギになる作品を紹介しながら、120年前の美術や文化が今日の我々にとっても同じように大切であること、そこには連綿と続く根源的な要素があることを示します。これまで近代アートの変遷を見るときには、とかく異なる技法の評価や運動、「〜主義」ばかりに注目してきましたが、本展では新たな4つのテーマを設けて作品を捉え、時代によって多様に表現される美術のより根源的な視点に注目します。 |
4部構成 |
1.「根源に戻って」では「不安」「孤独」「性」「死」といった私たちの生活に深く関わりあうテーマを、アーティストがどう表現したのかを紹介。(作家:ピカソ、ゴーギャン、ジャコメッティ、マティス、モネ、ルドン、ムンク等) |
2.「純粋さを求めて」では20 世紀中頃、精神性や理想主義への関心が高まり、その結果様々な抽象的な作品が制作されましたが、そうした傾向が現代アートにどのように反映されているのかをみていきます。(作家:イヴ・クライン、ブランクーシ、カンディンスキー、モンドリアン等) |
3.「日常性の中で」は私たちの生活に身近なマスメディアや広告イメージを使って表現された「ポップアート」と、ありふれた日常生活をテーマに制作する現代アーティストの作品がどのように関連しあっているかを浮かびあがらせます。(作家:ウォーホル、リヒター、ラウシェンバーグ、ジャスパー・ジョーンズ、ジェフ・クーンズ、ジム・ダイン等) |
4.「変化に向かって」では、作家が表現したい主題をひとつの形ではなく自在な創意で変化・変形させた作品を堀り下げます。(作家:ヨーゼフ・ボイス、マン・レイ、ミロ等) これらのテーマを通し、今まで見えてなかった側面に光をあてる本展は近代アートの定義づけを明確にするだけではなく、ムンク、ピカソ、マティス、レジェなどの傑作と現代アート作品との関係も探りだします。 共同企画者ならびに当館館長のデヴィッド・エリオットは「このような展覧会は長い間試みられませんでした。我々の時代のアート、建築、デザインに見られる創造性は、単に時代の一部ではなく、世界全体を包含する現象であることを示すことができるでしょう。」と述べています。そしてニューヨーク近代美術館館長のグレン・ラウリーは次のような言葉を寄せています。「この展覧会はニューヨーク近代美術館と、アジアにおけるアート世界の重要かつ新しい拠点としてその存在を確立しつつある森美術館との最初のコラボレーションです。森稔、森佳子両氏は旧くからMoMA のインターナショナルカウンシルメンバーであり、我々も森美術館の計画段階からその創出に深く結びつきを持てた事をたいへん光栄に思っています。本展の目的は近代美術を再考し、そこから新たなアイデアを喚起することにあります。分けられた4 つのセクションを通して作品を観ることによって、浮かびあがるのはそれらの作品の奥底に存在する観念や独自の着想。それらが時代を超え、現代に与える影響を発見することとなるはずです。」 「モダンってなに?」はMoMA のキュレーター、デボラ・ワイとウェンディ・ワイトマン、および森美術館館長デヴィッド・エリオットと森美術館キュレーター、金善姫が企画担当しています。 |