どうやら3つの国家の統治は簡単にはいかなそうだ

作家名 : パンクロック・スゥラップ/Pangrok Sulap(2010年に設立)
出身/在住 : マレーシア
制作年 : 2015
素材:インク、布
サイズ:150×157 cm

パンクロック・スゥラップはアーティスト、ミュージシャン、社会活動家など、多様なメンバーで構成されているアーティスト・コレクティブ。アートを通じてボルネオ島北部サバ州のコミュニティを活性化させること、自分たちの権利についてより自覚的になってもらうことを目的に活動している。コレクティブ名のパンクロック(Pangrok)は音楽のジャンルであるパンク・ロックを、スゥラップ(Sulap)はサバ州の農民たちが使用する休憩場所を意味する。

《マフィリンド》《どうやら3つの国家の統治は簡単にはいかなそうだ》は、彼らの主な表現方法である木版画を用いて制作されている。後者は、展覧会の初日に、メンバーが協働して彫った板の上にインクをのせ、さらにその上に布をかぶせ、観客がメンバーの楽器演奏に合わせて踊りながら次々と布の上を歩き、図像を布に定着させることで完成した参加型の作品と言える。タイトルの「マフィリンド」とは、第二次世界大戦後にマラヤ(マレーシアの前身)、フィリピン、インドネシアの間で協議された「マレー民族の統合」という理想を掲げた連合体構想である。作品には3つの国を統治するリーダーたちの抱えるさまざまな議題や問題—例えば天然資源の共有や教育制度の拡充など、今日においても重要な諸問題—が提示されているが、実際にはこの構想は1963年のマレーシア成立をめぐる政情変化の中で瓦解している。パンクロック・スゥラップが拠点とするサバ州は、マレー半島を中心に文化的、経済的発展を遂げるマレーシアという国において、周縁的な存在であることを長く強いられてきた場所である一方、地理的な要因から多くのインドネシア系やフィリピン系の人々が居住している地域でもある。両作は、文化や歴史、人々のつながりは国家の枠組みのもとにおいてのみ達成されるのではなく、そこに生きる人々によってこそ成されるものであるという新しい「マフィリンド」の姿を示していると言えるだろう。

どうやら3つの国家の統治は簡単にはいかなそうだ

作家名 : パンクロック・スゥラップ/Pangrok Sulap(2010年に設立)
出身/在住 : マレーシア
制作年 : 2015
素材:インク、布
サイズ:150×157 cm

パンクロック・スゥラップはアーティスト、ミュージシャン、社会活動家など、多様なメンバーで構成されているアーティスト・コレクティブ。アートを通じてボルネオ島北部サバ州のコミュニティを活性化させること、自分たちの権利についてより自覚的になってもらうことを目的に活動している。コレクティブ名のパンクロック(Pangrok)は音楽のジャンルであるパンク・ロックを、スゥラップ(Sulap)はサバ州の農民たちが使用する休憩場所を意味する。

《マフィリンド》《どうやら3つの国家の統治は簡単にはいかなそうだ》は、彼らの主な表現方法である木版画を用いて制作されている。後者は、展覧会の初日に、メンバーが協働して彫った板の上にインクをのせ、さらにその上に布をかぶせ、観客がメンバーの楽器演奏に合わせて踊りながら次々と布の上を歩き、図像を布に定着させることで完成した参加型の作品と言える。タイトルの「マフィリンド」とは、第二次世界大戦後にマラヤ(マレーシアの前身)、フィリピン、インドネシアの間で協議された「マレー民族の統合」という理想を掲げた連合体構想である。作品には3つの国を統治するリーダーたちの抱えるさまざまな議題や問題—例えば天然資源の共有や教育制度の拡充など、今日においても重要な諸問題—が提示されているが、実際にはこの構想は1963年のマレーシア成立をめぐる政情変化の中で瓦解している。パンクロック・スゥラップが拠点とするサバ州は、マレー半島を中心に文化的、経済的発展を遂げるマレーシアという国において、周縁的な存在であることを長く強いられてきた場所である一方、地理的な要因から多くのインドネシア系やフィリピン系の人々が居住している地域でもある。両作は、文化や歴史、人々のつながりは国家の枠組みのもとにおいてのみ達成されるのではなく、そこに生きる人々によってこそ成されるものであるという新しい「マフィリンド」の姿を示していると言えるだろう。

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