処刑広場(No. 7)

作家名 : ハラーイル・サルキシアン/Hrair Sarkissian(1973-)
出身/在住 : シリア
制作年 : 2008
素材:アーカイバル・インクジェット・プリント、アルミニウムにマウント
サイズ:60.5×77.4 cm

シリアのダマスカスに生まれ育った写真家のハラーイル・サルキシアンは、父親が営む写真スタジオで修業を積む傍ら、ヨーロッパ人写真家のアシスタントを務めたことをきっかけに現代写真と出会い、アムステルダムのヘリット・リートフェルト・アカデミーで写真を専攻する。伝統的な大判のドキュメンタリー写真の手法を用いた作品では作家個人の記憶が反映され、われわれに、空虚さや人気のなさ、静寂さといった写真のイメージの、その背後にあるものに主観性を交えて思いをめぐらせ、公式の歴史には書かれていない「もうひとつの物語」を読み取ることを誘う。近年の展覧会に、ベネチア・ビエンナーレ(2019)、シャルジャ・ビエンナーレ(UAE、2019)、「ブリティッシュ・アート・ショー9」(英国各地巡回、2021-2022)などがある。

本作は「デッドパン」スタイルの、一見すると何の変哲もないドライで静謐な風景写真に見えるが、タイトルが「処刑広場」であり、それらが過去に公開処刑が行われたことのあるアレッポ、ラタキア、ダマスカスというシリアの3都市の広場であることを知ると、一転して恐怖に満ちた空間に見えてくる。公開処刑は早朝に執行される場合が多く、撮影も同じ時間帯に行われたのだという。意図的に人の気配を排した画面構成は、普段は活気を呈しているはずの広場としては不自然であり、どこか不気味な緊張感も漂う。作家はアルメニア系の家庭に生まれるが、第一次世界大戦中のアルメニア人虐殺問題やいまだ解決を見ないシリア内戦という現実をこのシリーズに重ね合わせると、これらが非常に政治性を帯びてくるのではないだろうか。

処刑広場(No. 7)

作家名 : ハラーイル・サルキシアン/Hrair Sarkissian(1973-)
出身/在住 : シリア
制作年 : 2008
素材:アーカイバル・インクジェット・プリント、アルミニウムにマウント
サイズ:60.5×77.4 cm

シリアのダマスカスに生まれ育った写真家のハラーイル・サルキシアンは、父親が営む写真スタジオで修業を積む傍ら、ヨーロッパ人写真家のアシスタントを務めたことをきっかけに現代写真と出会い、アムステルダムのヘリット・リートフェルト・アカデミーで写真を専攻する。伝統的な大判のドキュメンタリー写真の手法を用いた作品では作家個人の記憶が反映され、われわれに、空虚さや人気のなさ、静寂さといった写真のイメージの、その背後にあるものに主観性を交えて思いをめぐらせ、公式の歴史には書かれていない「もうひとつの物語」を読み取ることを誘う。近年の展覧会に、ベネチア・ビエンナーレ(2019)、シャルジャ・ビエンナーレ(UAE、2019)、「ブリティッシュ・アート・ショー9」(英国各地巡回、2021-2022)などがある。

本作は「デッドパン」スタイルの、一見すると何の変哲もないドライで静謐な風景写真に見えるが、タイトルが「処刑広場」であり、それらが過去に公開処刑が行われたことのあるアレッポ、ラタキア、ダマスカスというシリアの3都市の広場であることを知ると、一転して恐怖に満ちた空間に見えてくる。公開処刑は早朝に執行される場合が多く、撮影も同じ時間帯に行われたのだという。意図的に人の気配を排した画面構成は、普段は活気を呈しているはずの広場としては不自然であり、どこか不気味な緊張感も漂う。作家はアルメニア系の家庭に生まれるが、第一次世界大戦中のアルメニア人虐殺問題やいまだ解決を見ないシリア内戦という現実をこのシリーズに重ね合わせると、これらが非常に政治性を帯びてくるのではないだろうか。

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