バー 「零点」、レズビアンの客の前で歌うパンジエ、河北省(「I and I」シリーズより)

作家名 : 菊地智子/Kikuchi Tomoko(1973-)
出身/在住 : 日本
制作年 : 2007
素材:インクジェットプリント
サイズ:37.2×55.8 cm

菊地智子は、1996年に武蔵野美術大学を卒業後、1997年に香港に移住し、写真家としての活動を開始する。1999年より北京に拠点を移し、2020年からは東京、ソウルを中心に活動している。急速な近代化によって生まれた社会のさまざまな「狭間」で、孤独や矛盾を抱えながら懸命に生きるLGBTQの若者たち、大河で生活する漁民たち、ドラァグクイーン率いる農村部の葬式楽団など、被写体となる人たちと生活をともにしながら制作してきた。近年では、東アジア近代史における戦争や事件において加害者であると同時に被害者である人たちとの対話を試みる映像プロジェクト、日本の九州では過疎化について、水俣病と北朝鮮の歴史などを主題に制作を行っている。菊地はこうした活動を通じて、周囲の圧力や矛盾のみならず、内なる自己の境界線を乗り越えて自分らしく生きる人々の不屈の精神の視覚化を試みている。2013年に木村伊兵衛写真賞、2015年にプリピクテジャパンアワードを受賞。東京都写真美術館、川崎市市民ミュージアム(神奈川)、モデナ視覚芸術財団(イタリア)、カディスト・アート・ファウンデーションなどに作品が収蔵されている。

「I and I」シリーズは、中国の急速な経済発展と凄まじい時代の変化の波に翻弄されるドラァグクイーンたちを中心にしたLGBTQを主題にしている。2005年に菊地が北京で出会った社会の片隅で生活するかれらが(*)、数年後には社会に受容され始め本人たちの意識も変わっていく様子、2008年以降に重慶で出会った自らのアイデンティティを易々と誇示する1985年以降生まれの若いドラァグクイーンたちなどが撮影されている。北京、陝西、重慶、四川、河北など、撮影された場所も多様だが、被写体となるドラァグクイーンたちの日常におけるさまざまな瞬間が、近しい者だからこそ撮れる親密さをもって語りかけ、かれらの息遣いとエネルギーを感じることができる。

* ここでは性別に関係なく、複数の人からなる集まりを「かれら」と表記する。

バー 「零点」、レズビアンの客の前で歌うパンジエ、河北省(「I and I」シリーズより)

作家名 : 菊地智子/Kikuchi Tomoko(1973-)
出身/在住 : 日本
制作年 : 2007
素材:インクジェットプリント
サイズ:37.2×55.8 cm

菊地智子は、1996年に武蔵野美術大学を卒業後、1997年に香港に移住し、写真家としての活動を開始する。1999年より北京に拠点を移し、2020年からは東京、ソウルを中心に活動している。急速な近代化によって生まれた社会のさまざまな「狭間」で、孤独や矛盾を抱えながら懸命に生きるLGBTQの若者たち、大河で生活する漁民たち、ドラァグクイーン率いる農村部の葬式楽団など、被写体となる人たちと生活をともにしながら制作してきた。近年では、東アジア近代史における戦争や事件において加害者であると同時に被害者である人たちとの対話を試みる映像プロジェクト、日本の九州では過疎化について、水俣病と北朝鮮の歴史などを主題に制作を行っている。菊地はこうした活動を通じて、周囲の圧力や矛盾のみならず、内なる自己の境界線を乗り越えて自分らしく生きる人々の不屈の精神の視覚化を試みている。2013年に木村伊兵衛写真賞、2015年にプリピクテジャパンアワードを受賞。東京都写真美術館、川崎市市民ミュージアム(神奈川)、モデナ視覚芸術財団(イタリア)、カディスト・アート・ファウンデーションなどに作品が収蔵されている。

「I and I」シリーズは、中国の急速な経済発展と凄まじい時代の変化の波に翻弄されるドラァグクイーンたちを中心にしたLGBTQを主題にしている。2005年に菊地が北京で出会った社会の片隅で生活するかれらが(*)、数年後には社会に受容され始め本人たちの意識も変わっていく様子、2008年以降に重慶で出会った自らのアイデンティティを易々と誇示する1985年以降生まれの若いドラァグクイーンたちなどが撮影されている。北京、陝西、重慶、四川、河北など、撮影された場所も多様だが、被写体となるドラァグクイーンたちの日常におけるさまざまな瞬間が、近しい者だからこそ撮れる親密さをもって語りかけ、かれらの息遣いとエネルギーを感じることができる。

* ここでは性別に関係なく、複数の人からなる集まりを「かれら」と表記する。

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