作家名 | : | ヴァンディー・ラッタナ/Vandy Rattana(1980-) |
---|---|---|
出身/在住 | : | カンボジア |
制作年 | : | 2009 |
素材 | : | デジタルCプリント |
サイズ | : | 90×150 cm |
ヴァンディー・ラッタナは2005年から独学で写真と映像を学び、カンボジアの都市や自然、人々の生活を記録し始める。以来、国内外で多くの展示を行う。2007年にアーティスト・コレクティブ「スティーヴ・セラパック(美術の反抗者)」を共同設立し、2009年にササ・アートギャラリーを、2011年にはカンボジアで初めての現代美術のための展示スペース、ササ・バサックを立ち上げるなど、同国の現代美術シーンに多大な貢献をしてきた。現在は、フランス語や英語の哲学書、古典文学などをクメール語に翻訳し、自費で出版するプロジェクト「ポンレウ・アソシエーション」に取り組んでいる。
「爆弾の池」シリーズは、クメール・ルージュによる支配体制が崩壊した直後のプノンペンに生まれ育ち、自国の近現代史をアーティストとしての視点から批評的に見つめてきたラッタナの代表作と言える。ラッタナはあるとき、カンボジアの農地に点在する、円形のへこみや湖に気が付き、写真に収めるようになる。やがてそれが地元の人々に「爆弾の池」と呼ばれるもので、ベトナム戦争中に米軍が行った絨毯爆撃によって形成されたものであると知る。これまで、ベトナムとカンボジアの国境付近に約2万か所存在すると言われる爆弾クレーターのうち、およそ300程度を撮影してきた。一見すると穏やかな田園風景の一部に見えるこれらのクレーターを、作家は「爆撃を生き延びたカンボジアの人々の心理的トラウマを表すもの」と言うが、たしかにそれは日常の生活に過去が覆い隠されてしまっているようでもある。ラッタナは今後も撮影を継続し、できればすべてを網羅的に記録したいと言う。本作は、現代のカンボジアに生きる人々にとっての日常的な風景の記録でありながら、その背景にある人々の記憶や社会全体から忘れ去られようとしている過去を、歴史として記録しようとする試みでもある。
作家名 | : | ヴァンディー・ラッタナ/Vandy Rattana(1980-) |
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出身/在住 | : | カンボジア |
制作年 | : | 2009 |
素材 | : | デジタルCプリント |
サイズ | : | 90×150 cm |
ヴァンディー・ラッタナは2005年から独学で写真と映像を学び、カンボジアの都市や自然、人々の生活を記録し始める。以来、国内外で多くの展示を行う。2007年にアーティスト・コレクティブ「スティーヴ・セラパック(美術の反抗者)」を共同設立し、2009年にササ・アートギャラリーを、2011年にはカンボジアで初めての現代美術のための展示スペース、ササ・バサックを立ち上げるなど、同国の現代美術シーンに多大な貢献をしてきた。現在は、フランス語や英語の哲学書、古典文学などをクメール語に翻訳し、自費で出版するプロジェクト「ポンレウ・アソシエーション」に取り組んでいる。
「爆弾の池」シリーズは、クメール・ルージュによる支配体制が崩壊した直後のプノンペンに生まれ育ち、自国の近現代史をアーティストとしての視点から批評的に見つめてきたラッタナの代表作と言える。ラッタナはあるとき、カンボジアの農地に点在する、円形のへこみや湖に気が付き、写真に収めるようになる。やがてそれが地元の人々に「爆弾の池」と呼ばれるもので、ベトナム戦争中に米軍が行った絨毯爆撃によって形成されたものであると知る。これまで、ベトナムとカンボジアの国境付近に約2万か所存在すると言われる爆弾クレーターのうち、およそ300程度を撮影してきた。一見すると穏やかな田園風景の一部に見えるこれらのクレーターを、作家は「爆撃を生き延びたカンボジアの人々の心理的トラウマを表すもの」と言うが、たしかにそれは日常の生活に過去が覆い隠されてしまっているようでもある。ラッタナは今後も撮影を継続し、できればすべてを網羅的に記録したいと言う。本作は、現代のカンボジアに生きる人々にとっての日常的な風景の記録でありながら、その背景にある人々の記憶や社会全体から忘れ去られようとしている過去を、歴史として記録しようとする試みでもある。
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