2016年6月 2日(木)

「六本木クロッシング2016展」アーティスト&作品紹介#4~後藤靖香

「六本木クロッシング2016展」のアーティスト&作品を紹介する本ブログ連載の第4回で紹介するのは、個人にまつわる戦時中のエピソードを作品に描く後藤靖香です。


《寄書》
2008年
油彩、アクリル、墨汁、カンバス
304 × 480 cm
所蔵:国立国際美術館、大阪

親戚から聞く太平洋戦争の体験を元に、後藤靖香は想像力を駆使して個人にまつわる戦時中のエピソードを描いてきました。
墨汁を使って大胆に描かれた出品作はいずれも、従軍した後藤の祖父をテーマにしたものです。《芋洗》(2008)では窮屈な輸送船に乗る場面が、《寄書》(2008)では各地に配属される同期と共に寄せ書きする様子が描かれ、それぞれ深刻な場面ながらもどこかしらユーモアが漂います。真面目な顔、笑顔、傍観など、兵士の表情には各人の個性が感じられます。
《あいおいばし》(2013)の対になった絵は、軍隊に憧れる少年としての祖父と、陸軍入隊後の祖父の、時代を超えた邂逅(かいこう)の図だといいます。広島原爆投下の目標地点にされたといわれる相生橋。間一髪で特攻出撃を免れ終戦を迎えた祖父が帰って来た時、橋近くの実家は焼失していました。彼の運命の物語は、孫である後藤によって、いま私たちに共有されるのです。


展示風景:「六本木クロッシング2016展:僕の身体、あなたの声」森美術館、2016年
撮影:永禮 賢
 

<関連リンク>

六本木クロッシング2016展:僕の身体、あなたの声
会期:2016年3月26日(土)-7月10日(日)

・「六本木クロッシング2016展」~アーティスト&作品紹介
(1)毛利悠子
(2)片山真理
(3)石川竜一
(4)後藤靖香
(5)志村信裕
(6)小林エリカ
(7)ジュン・ヤン
(8)長谷川愛

アーティスト×キュレーターによるセッション
「六本木クロッシング2016展」クロストークDay 1をレポート
~毛利悠子、さわひらき、西原尚、ナイル・ケティング、ジェイ・チュン&キュウ・タケキ・マエダ、ジュン・ヤン

カテゴリー:01.MAMオピニオン
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