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「レアンドロ・エルリッヒ展」作品紹介#1《反射する港》&《雲》

2018.2.13(火)

《反射する港》

舟が水に浮かぶように見えますが、実は、ボートの揺れをコンピューターで計算し制作した立体物のインスタレーションです。私たちは「ボートは水に浮いているものだ」という思い込みをもつため、そのように見えてしまったのです。私たちがいかに固定観念をもって物事を見ているか、ということに気づかされます。
英語タイトル(Port of Reflections)に含まれる「Reflection」という言葉は、「熟考」という意味ももちますが、本作はイメージと物質の実在の関係について、私たちに熟考を促しているのかもしれません。

レアンドロ・エルリッヒ 《反射する港》
レアンドロ・エルリッヒ
《反射する港》
2014年
ガラス繊維、金属フレーム、駆動装置、木材、アクリル板
サイズ可変
展示風景:「レアンドロ・エルリッヒ展:見ることのリアル」森美術館、2017年
撮影:長谷川健太
Courtesy: Art Front Gallery and Galleria Continua
《雲》

フランス、ドイツ、イギリスのブリテン島、日本といった国や島の形をした雲が、白色のセラミック・インクを使って表現されています。
人間は秩序のないものに秩序や形を与えようとする習性をもち、例えばランダムに並ぶ星から星座を作りだしました。同様に、太古から、雲が形を変え続けるがゆえに、雲を自らの想像によって何らかの形として認識してきました。数十万年単位で見れば雲と同じように変化を続ける地形に対して、人間が勝手に線を引いて作りだしたものが国家なのだということを、本作に読みとることもできます。

レアンドロ・エルリッヒ 《雲》
レアンドロ・エルリッヒ
《雲》
2016年
高透過ガラス、セラミック・インク、木材、照明
各199.5×205×81 cm
展示風景:「レアンドロ・エルリッヒ展:見ることのリアル」森美術館、2017年
撮影:長谷川健太
Courtesy: Sean Kelly Gallery and Art Front Gallery
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