展覧会

STARS展:現代美術のスターたち―日本から世界へ

世界が認める現代アートのトップランナー6名
その初期作品と最新作をつないで見せる
待望の展覧会!

2020.7.31(金)~ 2021.1.3(日)

杉本博司

写真や現代美術に限らず、古美術、建築、造園、伝統芸能など、幅広い文化に精通する杉本博司は、芸術、科学、宗教、歴史が渾然一体としてあったルネサンス期のクリエイターを連想させます。幼い頃から、自分の見ている世界が実在することへの不信感を持っていた、と言う杉本は、物事の本質や真理、記憶の古層にある曖昧なイメージ、特定の形を持たない光。こうしたビジョンを明快なコンセプトと職人的技術で作品化し、それを他者と共有するのです。

1970年に渡米。1974年にニューヨークへ移住し、現代美術家としての活動を始めます。「ジオラマ」シリーズ最初の作品である《シロクマ》(1976年)は、アメリカ自然史博物館にあるジオラマを片目を覆って見たところ、生きているような幻覚が見えたという体験がきっかけになりました。本作は制作された翌年にニューヨーク近代美術館に収蔵され、新収蔵品展にも出品されました。一方、海と空が水平線でちょうど二分された「海景」(1980年-)は「古代人が見ていた風景を、現代人も見ることは可能なのだろうか」という問いから始まっています。この「海景」シリーズを90度回転させた「レボリューション」(1990年-)では、水平線は地球の輪郭線の一部へ転換され、意識は大いなる宇宙へ放たれます。

1995年、メトロポリタン美術館での個展は杉本を次なる舞台に押し上げ、市場からの評価も高まります。それまで15年間営んだ日本古美術店を通し、杉本の関心は長大な歴史や宗教の世界へ拡張していました。初映画作品《時間の庭のひとりごと》(2020年)には、杉本が神奈川小田原市に設立した「小田原文化財団 江之浦測候所」(2017年開館)の四季折々が細部まで納められています。庭園、建築、古美術、化石、写真、舞台芸術など、人生の集大成として杉本の世界観を堪能できるものになっています。

杉本博司《Revolution 008 カリブ海、ユカタン》
杉本博司
《Revolution 008 カリブ海、ユカタン》
1990年
ゼラチン・シルバー・プリント
238.8×119.4 cm
杉本博司《Revolution 008 カリブ海、ユカタン》
杉本博司
《Revolution 008 カリブ海、ユカタン》
1990年
ゼラチン・シルバー・プリント
238.8×119.4 cm

プロフィール

1948年、東京都生まれ、ニューヨークおよび東京都在住。1970年に渡米しロサンゼルスで写真を学んだ後、1974年にはニューヨークに移住。現実と虚像の間を往来する「ジオラマ」、「ポートレート」、映画一本分の長時間露光による「劇場」、世界各地の水平線を撮影した「海景」など、初期から一貫して明確なコンセプトに基づいた写真作品を制作。1977年、初めてのパブリックコレクションとして「ジオラマ」シリーズから《シロクマ》(1976年)がニューヨーク近代美術館に収蔵される。その後、1995年から始まったメトロポリタン美術館(ニューヨーク)の個展が米国内及びハラ ミュージアム アーク(群馬)に巡回し、大きな注目を浴びる。2005年、森美術館での個展「杉本博司:時間の終わり」は米国3都市に巡回。固有のコンセプトと哲学、美学を兼ね備えた写真作品が美術館と市場の双方で確固たる立ち位置を確立する。その後、彼の壮大な世界観や歴史観は写真メディア、さらには現代美術に限定されることなく、近年の表現は建築、伝統美術、古典芸能など幅広い芸術領域を横断している。なかでも2017年開館の小田原文化財団 江之浦測候所は、構想から20年をかけたもので、その世界観が凝縮された壮大なプロジェクトは世界から注目が高まっている。

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