展覧会

塩田千春展:魂がふるえる

2019.6.20(木)~ 10.27(日)

塩田千春の過去最大、最も網羅的な個展

世界各地で精力的に作品を発表している塩田千春は、美術館、国際展、ギャラリーなどで、これまでに250本以上の展覧会に参加しており、近年では年間20本前後の展覧会に参加するなど、国際的にも高い評価を得ています。日本では2001年の第1回横浜トリエンナーレに出展した《皮膚からの記憶》にて注目を集め、2008年には国立国際美術館(大阪)で「精神の呼吸」、2012年に丸亀市猪熊弦一郎現代美術館(香川)で「私たちの行方」、2013年に高知県立美術館で「ありがとうの手紙」など数々の個展を開催。2015年には第56回ベネチア・ビエンナーレ国際美術展(イタリア)の日本館代表として《掌の鍵》を展示しました。
本展は、1990年代の初期作品やパフォーマンスの記録から、代表的なインスタレーション、最新作までを網羅的に紹介する、過去最大規模の個展となります。

大規模な没入型(イマーシブ)インスタレーション

塩田千春の20数年にわたる実践のなかで、彼女の作品を最も特徴づけるのは黒や赤の糸を空間全体に張り巡らせる没入型のインスタレーションです。観客は糸が張り巡らされた空間の中を歩きながら、目に見えない繋がりや、記憶、不安、夢、沈黙などかたちの無いものを体感的、視覚的に意識させられます。糸の色について塩田は、黒は夜空とも宇宙とも捉えることができ、赤は血液、あるいは「赤い糸」といった、人と人の繋がりと考えることもできると言っています。
本展では、移動や旅を連想させる舟やトランク、沈黙を示唆する焼けたピアノなどが組み合わされた、没入型インスタレーションを展示します。

「不在のなかの存在」、魂や生きる意味を考える新作

「不在のなかの存在」をテーマに作品を制作してきた塩田千春は、記憶や夢のなかだけに存在する、物理的には存在しないものの気配やエネルギーなどにかたちを与えてきました。塩田は自身の身体と作品を分かちがたい一体のものとして捉えていますが、初期のパフォーマンス以降、自身が演じた限られた映像作品を除けば、身体が作品に現れて来なかったのは、そこに「不在のなかの存在」を意識させるためでもあるでしょう。
しかし、一昨年に癌の再発を告げられ、病院の治療プロセスに機械的に従う時間のなか、「魂はどこにあるのか」という問いが浮かんだといいます。その過程で、身体がばらばらになるような感覚に襲われた塩田は、壊れた人形のパーツばかりを集め、再び自身の手足を鋳造した作品を作りはじめました。本展のための新作インスタレーションでは、身体の断片が糸で繋げられ、観る者に魂や生きる意味を問いかけます。

初期作品からの発展と一貫性を辿るアーカイブ展示

塩田千春は京都精華大学では絵画を専攻しましたが、1993年から1994年のオーストラリア国立大学留学中にはすでに、《One Line(一本の線)》という並行線のみの大規模なドローイングや、空間に「絵を描くように」糸を張った作品も制作しています。また同時期には、「絵のなかに自分が入っている夢をみた」ことをきっかけに、身体に絵具を塗り、シーツを使ったパフォーマンス《Becoming Painting(絵画になる)》も実施しました。その後ドイツに留学した塩田は、本格的に身体を使ったパフォーマンスを始め、以降ベルリンを拠点にさまざまな試みを続けてきました。
本展のアーカイブ展示では、初期のドローイングから、インスタレーションやパフォーマンスの記録を通して、彼女の実践の発展とそこに通底する一貫性を辿ります。

舞台美術の仕事に関する資料展示

塩田千春は、2003年にウヤズドフスキ城現代美術センター(ポーランド、ワルシャワ)で発表された「オール・ア・ローン」(可世木祐子演出)以降、ダンスやオペラなど数々のステージデザインに携わってきました。ドイツでは、キール歌劇場で上演された「トリスタンとイゾルデ」(2014年)、「ジークフリート」(2017年)、「神々の黄昏」(2018年)などのワーグナー作品。国内では、岡田利規演出による「タトゥー」(2009年、新国立劇場)や、サシャ・ヴァルツ監督、細川俊夫が音楽を手掛けた、2011年初演のオペラ「松風」(2018年、新国立劇場)(※1)などの作品があります。 塩田の空間芸術が舞台公演とどのように関係づけられ、いかに活かされてきたのか。本展では、記録映像や模型を通してその様子を再現します。

※1 オペラ「松風」は、モネ劇場(ベルギー、ブリュッセル)で初演されて以降、ベルリン国立歌劇場(ドイツ)、ポーランド国立歌劇場(ワルシャワ)、ルクセンブルク歌劇場でも公演されました。

オペラ公演「松風」のステージデザイン
ベルリン国立歌劇場、2011年
オペラ公演「松風」のステージデザイン ベルリン国立歌劇場、2011年
撮影:Bernd Uhlig
オペラ公演「松風」のステージデザイン
ベルリン国立歌劇場、2011年
オペラ公演「松風」のステージデザイン ベルリン国立歌劇場、2011年
撮影:Bernd Uhlig
チケット・開館時間
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