展覧会

アナザーエナジー展:
挑戦しつづける力―世界の女性アーティスト16人

2021.4.22(木)~ 9.26(日)

* 姓のアルファベット順

  • エテル・アドナン 1925年ベイルート生まれ、パリ在住
  • フィリダ・バーロウ 1944年英国、ニューカッスル・アポン・タイン生まれ、ロンドン在住
  • アンナ・ボギギアン 1946年カイロ生まれ、同地在住
  • ミリアム・カーン 1949年スイス、バーゼル生まれ、ブレガリア在住
  • リリ・デュジュリー 1941年ベルギー、ルーセラーレ生まれ、ローフェンデゲム在住
  • アンナ・ベラ・ガイゲル 1933年リオデジャネイロ生まれ、同地在住
  • ベアトリス・ゴンザレス 1932年コロンビア、ブカラマンガ生まれ、ボゴタ在住
  • カルメン・ヘレラ 1915年ハバナ生まれ、ニューヨーク在住
  • キム・スンギ 1946年韓国、扶餘(プヨ)生まれ、パリ在住
  • スザンヌ・レイシー 1945年カリフォルニア州ワスコ生まれ、ロサンゼルス在住
  • 三島喜美代 1932年大阪府生まれ、同地および岐阜県在住
  • 宮本和子 1942年東京都生まれ、ニューヨーク在住
  • センガ・ネングディ 1943年シカゴ生まれ、コロラド州コロラドスプリングス在住
  • ヌヌンWS 1948年インドネシア、ラワン生まれ、ジョグジャカルタ在住
  • アルピタ・シン 1937年インド、バラナガル生まれ、ニューデリー在住
  • ロビン・ホワイト 1946年ニュージーランド、テ・プケ生まれ、マスタートン在住

作品リスト

作品リストはこちらよりダウンロードできます。(PDF/334KB)

展示風景

Flickrで展示風景をご覧いただけます。


エテル・アドナン

1925年、ベイルート生まれ。詩人、小説家、画家。1960年代からイメージと文章、東洋と西洋、近代と現代をかけ合わせ、大陸間、文化間を行き来する自身の人生が反映された作品を制作。日本文化や、他文化に大きく影響を受けた多様な作品群には、風景、抽象、色彩、文章、記憶や歴史に対する複層的な探求がうかがえる。また、世界的な反戦運動への連帯感を表明するアドナンの、繊細でありながらもはっきりとした政治性が見てとれる。

エテル・アドナン
《無題》
2018年
油彩、キャンバス
55×46 cm
Courtesy: Sfeir-Semler Gallery, Beirut/Hamburg

フィリダ・バーロウ

1944年、英国、ニューカッスル・アポン・タイン生まれ。第二次世界大戦から復興を遂げるロンドンで育ち、美術を学ぶ。絵画と彫刻を制作してきたバーロウは、物質の表面や形の美しさではなく、時間や質量、バランスやリズムなど、物質の状態へ関心を寄せ、崩れ落ちそうな構造体や、立ち上がりそうな形状など、変容しつつある状態の立体作品を制作。コンクリートや集合材、段ボールなど安価な工業用材料を使い、その剥き出しの素材同士が生み出す絶妙なバランス感が、作品に通底している。2017年、第57回ベネチア・ビエンナーレ英国館代表。

フィリダ・バーロウ
《アンダーカバー 2》
2020年
木材、合板、セメント、スクリム(布)、石膏、ポリウレタンフォーム、塗料、PVA(合成樹脂)、キャラコ、鉄
サイズ可変
Courtesy: Hauser & Wirth
展示風景「アナザーエナジー展:挑戦しつづける力―世界の女性アーティスト16人」森美術館(東京)2021年
撮影:古川裕也

アンナ・ボギギアン

1946年、カイロ生まれ。1960年代に政治学を、1970年代にモントリオールで美術と音楽を学ぶ。現在は遊牧民のように世界各地に滞在し、それぞれの地域の歴史、政治、社会状況のリサーチの結果をトランスナショナルなテーマと結びつけ、相互の関連性を探ってきた。ドローイングを切り抜いた紙人形劇のようなインスタレーションは、世界を俯瞰すると見えてくる近代社会の光と影を雄弁に物語る。2012年のドクメンタ13以降、大規模個展や国際展への参加が続く。

アンナ・ボギギアン
《制度 vs 大衆》
2019年
展示風景:「正方形、線と定規」パリ国立高等美術学校 2019年
撮影:Nicolas Brasseur
※参考図版

ミリアム・カーン

1949年、スイス、バーゼル生まれ。1970年代に反核運動などの社会的動向に影響を受け、アーティストとしての活動を始める。力強い線描を特徴とする木炭のドローイングや色彩豊かな油彩は、差別や暴力などの社会問題、戦争、ユダヤ人女性である自身のアイデンティティと深く関わっている。2017年にはドクメンタ14に参加。2019年にはベルン美術館、ハウス・デア・クンスト(ミュンヘン)、ワルシャワ近代美術館の3館を巡回する大規模個展を開催。

ミリアム・カーン
《美しいブルー》
2017年5月13日
油彩、キャンバス
200×195 cm
所蔵:WAKO WORKS OF ART(東京)

リリ・デュジュリー

1941年、ベルギー、ルーセラーレ生まれ。初期作品には、1960年代のミニマリズムにみられた非人間的な冷ややかさに対するフェミニストとしての反感が表れている。身体、物質、文化の関係性を起点に、絵画から彫刻、映画、パフォーマンス、写真などを融合させ、独自の表現領域を広げる。沈黙、無音、不在の詩的表現が作品の主要素であり、なかでもアクション(行為)の必要条件である「静止」が重要視されている。本展では、1967年から2009年までの彫刻、素描、ビデオ作品を展示する。

リリ・デュジュリー
《無題(均衡)》
1967年
鋼鉄、鉄
平板:45×75×0.3 cm、棒:300.6×φ2.2 cm
展示風景:「時のひだ」ミュ・ゼー(ベルギー、オーステンデ)2015年
撮影:Dirk Pauwels

アンナ・ベラ・ガイゲル

1933年、リオデジャネイロ生まれ。ブラジルを代表するアーティストのひとり。1950年代から制作を始めたガイゲルの作品群の中心には、エンゲージメントと実験性が据えられている。初期の抽象作品は自身の身体と結びついたもので、同様に、写真、映像、彫刻などメディアを横断する作品も、社会的状況と何らかの関係性があった。ブラジルの政治的混乱のなか、ポーランド系移民の子として西洋近代を経験したガイゲルは、制作活動を通して、地政学的な国境やアイデンティティを再考し続けている。

アンナ・ベラ・ガイゲル
《月1》
1974年
フォト・シルクスクリーン印刷、紙
39×30.6 cm

ベアトリス・ゴンザレス

1932年、コロンビア、ブカラマンガ生まれ。建築、絵画、美術史を学び、1960年代に活動を始める。西洋美術史と地元の新聞から図像(イメージ)を引用し、それらを形状や平面性、カラーパレットに基づく視覚言語を用いて変換する作品を制作。タブローという形式にとらわれることなく、カーテンや家具、壁紙などの日用品を支持体として用いており、そこにはポップ・アートとの相似性が見てとれる。本展では、多様なメディアを用い、母国コロンビアの政治・社会的混乱に言及した作品を展示する。

ベアトリス・ゴンザレス
《無名のオーラ》
2007-2009年
展示風景:ボゴタ中央墓地(コロンビア) 2007-2009年
撮影:Laura Jiménez

カルメン・ヘレラ

1915年、ハバナ生まれ。米国における幾何学抽象表現の先駆者のひとり。ハバナで建築を学んだあと、ニューヨークのアート・ステューデント・リーグで絵画を学び、当時ニューヨークで始まった抽象表現主義のアーティストたちと交流するようになる。戦後、芸術と文学が興隆を迎えたパリに移住し、1960年代からは絵画の他、抽象に向かう建築の彫刻シリーズ「エストゥルクトゥラス」(構造)を制作。ヘレラの作品には共通して、動向として受容されるイズム(主義)をはるかに超えた人間性への探究がうかがえる。

カルメン・ヘレラ
《赤い直角》
2017-2018年
塗料、アルミニウム
109.7×153.7×26.4 cm
Courtesy: Lisson Gallery

キム・スンギ

1946年、韓国、扶餘(プヨ)生まれ。ソウル大学校美術大学大学院で絵画を学び、1971年からフランスに移住。映像やパフォーマンス、インスタレーション、音響、彫刻、写真など多様な表現手法の作品で国際的に活躍し、記号論と美学の研究も行う。仏教や道教などの東洋思想と、ヴィトゲンシュタインの言語論に影響を受けたスンギの作品には、時間、言語、生と芸術への本質的な問いが通底している。近年は、科学技術にも関心を寄せ、ロボットやAI を用いたインスタレーションを手掛けるなど、幅広い創作活動を行っている。2019年には韓国国立現代美術館(ソウル)で回顧展「キム・スンギ:怠惰な雲」を開催。

キム・スンギ
《月》
2003-2005年
ゼラチン・シルバー・プリント
82.5×60 cm(各、12点組)
展示風景:「月の満ち欠けのように」韓国国立現代美術館(果川) 2014-2015年

スザンヌ・レイシー

1945年、カリフォルニア州ワスコ生まれ。ソーシャリ―・エンゲージド・アートの先駆者であり、教育者、著述家としても活躍。1970年代からロサンゼルスを中心に活動し、コミュニティとの対話を通じて、女性解放運動や人種差別、高齢化、暴力などの社会的課題や都市の問題に取り組んできた。パフォーマンス、映像、写真、社会活動などのメディアを用い、自身の身体を主題にした個人的な作品から、数百人のパフォーマーが参加する大規模なプロジェクトまで、その表現手法もスケールも多様な作品を精力的に発表している。

スザンヌ・レイシー
《避けられない連合》
1976年
パフォーマンス
パフォーマンス風景:ビルトモア・ホテル(ロサンゼルス) 1976年
撮影:Raúl Vega

三島喜美代

1932年、大阪生まれ。1950年代後半から、印刷物や廃品を用いたコラージュ、油彩など、実験的な平面作品を発表し注目される。1973年以降、セラミック(陶)にシルクスクリーンで印刷を施す立体作品を制作。割れる性質を持つ陶に写された新聞紙や空きの表面と素材の違和感には、当時注目された大量消費社会や情報化社会への批判が込められている。また、大型のインスタレーションや立体作品を発表するなど現在も精力的な活動を続け、近年、国内外での評価が高まっている。

三島喜美代
《作品 92-N》
1990-1992年
陶にシルクスクリーン印刷
227×490×390 cm
撮影:小川重雄
画像提供:美術資料センター(東京)

宮本和子

1942年、東京生まれ。1964年に現代美術研究所を卒業後、渡米。アート・ステューデント・リーグで学び、ニューヨークを拠点に活動を始める。ミニマリズムに関する研究を続け、ソル・ルウィットのアシスタントも務める傍ら、多民族都市のニューヨークで自らのアイデンティティを問い、女性アーティストによって1972年に設立されたA.I.R.ギャラリーの活動にも参加。綿密な設計図に基づくストリング(糸)を使ったインスタレーションの他、彫刻やパフォーマンスなど多岐にわたるメディアで活動を続けている。

宮本和子
《黒い芥子》
1979年
糸、釘
274×183×213 cm
Courtesy: EXILE, Vienna; Take Ninagawa, Tokyo
展示風景:「新作展」A.I.R.ギャラリー(ニューヨーク)1979年

センガ・ネングディ

1943年、シカゴ生まれ。彫刻、パフォーマンス、ダンスを融合した作品を制作。1960年代、日本文化を経験し、具体美術協会について学ぶため、早稲田大学に1年間留学。以降、日本の歌舞伎や舞踏、また、西アフリカの儀式の視覚表現が、作品において重要な役割を果たす。とりわけ、1960~70年代の彫刻作品の多くは、展示することだけを目的に制作されたため、展示終了後にはその存在を失う。「多くの人にとっては残念かもしれないが、私にとって(作品の)永続性が大切なわけではない」というネングディにとって、アートの目的は作品の保存や神聖化ではなく、常に開かれ、継続することにある。

センガ・ネングディ
《R.S.V.P.でのスタジオ・パフォーマンス》
1976年 
ゼラチン・シルバー・プリント
撮影:Ken Peterson
画像提供: Sprüth Magers; Thomas Erben Gallery; Lévy Gorvy

ヌヌンWS

1948年、インドネシア、ラワン生まれ。幼少期から画家を志し、スラバヤ美術アカデミーで美術を学ぶ。偶像崇拝を禁じるイスラム教の伝統を反映し、幾何学的抽象画に初期から取り組んできた。形を排除し、色彩を重ね合わせることで、その無限の可能性を探究。そのインスピレーションは、山の風景や太陽の光など、ヌヌンWSの毎日を取り巻くジャワ島の自然環境やその精神性に負うところが大きい。また、縦糸と横糸が交差することで新たな色彩を創出する伝統的な織物に宿るエネルギーとも共鳴している。

ヌヌンWS
《織物の次元 1番》
2019年
アクリル絵具、キャンバス
425×180 cm(5点組)

アルピタ・シン

1937年、インド、バラナガル生まれ。イギリスからの独立間もない1950年代、デリーで美術を学び、作品発表を始める。1970~80年代には抽象的なドローイングを通して新しい素材や技法を探究。その後、インド現代美術への国際的な注目が高まるなか、欧州を始め国際展等への出品が続く。1990年代には、シンの絵画に文字や数字が登場し、以降、抽象と具象、絵画的イメージと数字や文字が渾然一体となった画面へと発展していくが、そこには広告看板やテレビ、新聞などから日常的に吸収される世界の断片が描かれている。

アルピタ・シン
《私のロリポップ・シティ:双子の出現》
2005年
油彩、キャンバス
152.4×213.3 cm
所蔵:ヴァデラ・アート・ギャラリー(ニューデリー)

ロビン・ホワイト

1946年、ニュージーランド、テ・プケ生まれ。学生時代はニュージーランドを代表するモダニスト、コリン・マカーンに師事。オタゴ半島に拠点を移し、1972年頃までには輪郭線を強調する絵画でニュージーランドの地域主義者のひとりとして知られるようになる。1982年から17年間、家族で太平洋上のキリバス共和国に滞在。島での伝統的な共同制作を通してアートの概念を拡張し、近年ではキリバス、フィジー共和国、トンガ王国などの女性たちと積極的に作品を制作している。

ロビン・ホワイト&ルハ・フィフィタ
《大通り沿いで目にしたもの》(「コ・エ・ハラ・ハンガトゥヌ:まっすぐな道」シリーズより)
2015-2016年
顔料、植物染料、樹皮布
2,400×380 cm
Courtesy: McLeavy Gallery, Wellington
展示風景:「大通り沿いで目にしたもの」ビクトリア国立美術館(メルボルン)2016年
撮影:Michael Fudakowski
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